木、樹木の描き方



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  風景画で最も難しい樹木の描き方です。 建物などと違って、樹木や草はとても複雑なので、見たものをそのままに描き写すこ
  とはできません。ですから難しいのです。


 ダーマトグラフで描く (ダーマトグラフなど画材についてはこちらをご覧ください)
   先に練習した草の描き方と同じ方法で、ダーマトグラフを使って樹木を描いてみます。
   練習の初めにダーマトグラフを使って描くのは、樹木で一番難しい全体の形と葉のかたまりを、いかにして描き表わすかを習得
  するためです。 ダーマトグラフでなら、ゆっくり考えながら描き進めていけます。

  ■ まず、右の絵の一部をダーマトグラフを使って描いてみてください。
    次のように描きます。少しは違ってもかまいません。

 
    灰色の濃淡は、ダーマトグラフの力
   の入れ方を変えて描きます。


 
 
   ■ 樹木全体を描くときは、初めに、幹と枝をよく見てしっかりと描きます。幹の先に枝があって、その先に葉っぱのかたまりが
   ある。そのことを忘れないようにしましょう。
   ■ 幹や枝の手前に葉っぱがあり、枝が隠れて見えないところもあります。無造作に描かないように、よく見ることが大切です。

 絵具で描く
   ダーマトグラフで全体の形、葉っぱのかたまりが描けるようになったら、次は絵具を使って同じように描いてみましょう。
  ■ まず、ごくうすい緑色一色だけを使って、ダーマトグラフで描いたような描き方で、
   全体の形と明るい葉っぱのかたまりを描きます。 このように描きます。

  ■ ここでは、幹と枝は省略してありますが、樹木全体を描くときは、鉛筆を使って目
   印程度でもいいので初めに描いておき、面相筆で手本のような色を塗りましょう。
 
 
  ■ 初めからいろんな色を使ってこの絵を描こうとしてはいけません。ゆっくり基本を身につけてから先に進まないと、上達が遅
   れます。
  ■ 気をつけることは、ダーマトグラフと似た感覚で少しずつゆっくり描くために、筆に含ませる色は、あまり水っぽくないよう
   に。どちらかと言えばカサカサした感じが描きやすいはずです。

 練習の前に筆の使い方を少し
  ■ このような形を塗るときでも、はじめからベッタリと塗るのではなく、下の左のように描いたものを、右のようにつなぐのです。     
     
  ■ 近距離で、葉をはっきりと描くときは、筆の先を
   使います。
       
 ■ 少し離れて、色のかたまりとして描くときは、
  筆の腹を使います。

 
 
 練習に戻りましょう
  ■ 一色でダーマトグラフのようにしっかり描けたら、次は色をつけていきます。ゆっくりとよく考えて色を決めます。同じ色で
   全ての部分を塗ってはいけません。重ね塗りは、必ず前の色が乾いてからです。

 
  その風景の、少し
 暗い部分を、その色
 で薄く塗ります。
        
  一番明るい部分を必ず白く残
 すことを忘れないように。
  塗りつぶしてしまったらもう
  一度初めからやり直しです。
 



 少しずつ、それぞれの
 部分の色を塗っていきます。
       

  さらに細かい陰の部分を塗ります。
 用心深く、薄い色を少しずつです。
 黄色は濃くならないように注意。




  最後に、白く残っているところを少しだけ塗ります。明るさを残すため、塗り過ぎ
 ないように!
 
  さらに暗い部分を塗って完成。
  ■ 塗り重ねは、同じ色を塗るのではありません。その都度、別の色を作って塗るのです。パレットは机の上に置いて、多すぎる
  くらい色を作りましょう。

 表現の違い

 

  次は、同じ一本の木を描き方を変えて描いたものです。絵全体の仕上げ方、あるいは
 距離の遠近などによってどちらの描き方を使うかが決まってきます。 それぞれの違い
 を理解して練習してみましょう。
 
 

 ■ 葉を意識した描き方。

  □ 葉が一枚一枚見えるほどに近いところの木で、その絵のほかの部分も比較的きっち
   りとした描き方をする場合にこの描き方をします。
 
  □ 隈取筆か削用筆の中か小を使い、筆の先で一枚一枚の葉を意識して描きます。
    上向きの葉、下向きの葉もそのように意識して描きます。

  □ たくさんの葉が重なるようにあるところでも、べったりとは塗らず、一枚一枚の葉
   が集まっているように描きます。

  □ 気をつけなければいけないのは、この絵には細い枝が描いてありますが、実際には
   その枝の更に先に、もっとたくさんの細い枝があって、葉はその枝についているとい
   うことです。
 
  □ 明るい色の葉から暗い色の葉へと、順に描いていきます。この場合も、必ずしっか
   り乾いてから次の色を塗るようにしなければいけません。


 

 ■ 葉を意識せず、樹木全体を明暗で表現した描き方。

  □ 葉が細かく見えないほど離れたところにある木。または、絵全体が比較的大ま
   かな描き方の場合にこの描き方をします。

  □ 隈取筆の中か大を使い、一枚一枚の葉の集まりを、ひとつの色のかたまりと見て
   描きます。

  □ 葉のかたまりの間から見えている空を、しっかり塗り残すことを忘れないように
   しましょう。

  □ この場合も、明るい色の葉から暗い色の葉へと、順に描いていきます。

 
その他の木

 ■ 桜は、ぜひ描いてみたいものの一つです。実物の桜の花をよく見てみましょう。
   右の写真のように、丸い花のかたまりがたくさん集まっていると考えればいいよ
  うです。
 
 ■ では、下の絵のような桜を描いてみましょう。
   初めに花を描くための目印として、枝を描きます。色を軽く薄く塗ります。
   次に、鉛筆でごく薄く、花のかたまりの形を描きます。それを目印に、青空や背景の建物などをおおまかに描きます。
   続いて目印の鉛筆を消し、きれいな花のかたまりになるように、青空や背景の色を使って形を整えます。
   ほとんどピンクのようなごく薄い灰色で、花のかたまりの陰になっている部分を塗ります。少しずつ、面積を少なく、同じ色を重ね
  て塗ります。これで丸みを出すのです。
   赤を混ぜたピンクの、ちょっと強い色を花のかたまりの中心のような部分に点で塗っていきます。
  (下の絵では、わかりやすいように赤い色を強調してあります) 枝、青空、背景をしっかり塗って完成です。

 
 

 ■ もみじは、先のよく尖った
  面相筆を使います。葉の混み
  合っているところと空いてい
  るところをバランスよく描き
  ましょう。 
   葉の向き、大小も考えて美
  しく配置します。 
                  
   ■ 杉は、筆の先で点のような
   色のかたまりを繰り返し塗っ
   て描きます。
    両側を明るく、真ん中を暗
   く描くと、うまくいきます。

  参考



 



 ■ 松は、本当に水気のないカサカサの色で根気よく
  重ね塗りをします。

   初めに松の葉の一番薄い(明るい)色をカサカサ
  で塗ります。筆の先を押し付けて色が付くくらいの
  カサカサです。
   次に、少し暗い色を少しずつ何度も何度も重ね塗
  りをして仕上げます。

   紙の表面のザラザラした感じを使って、かすれた
  ように塗れればいいのです。
   背景の色との間に、明るい部分ができるように塗
  ると松らしく見えます。
 

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            おきください。

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