夜景の描き方    

                                         トップページへ戻る

   夜の風景を描いてみましょう。次の絵は夜の奈良東大寺を描いたものです。夜は暗くて風景など見えない。そうお考えかもしれ
  ませんが、この時が天気が良く満月の夜であったとしたらどうでしょう。しばらく目を慣らして見ていると月の光だけでも意外な
  ほどよく見えるものです。といっても、実際に夜の屋外に出て絵を描くことは無理なことです。絵具の色が正しく見えないからで
  す。


   そこで必要なのが、実際の夜景をいくつか見て、その風景がどのように見えたかをよく覚えることです。写真などで美しい夜景
  を見ることもいいでしょう。

  
夜景を描く手順
   1. 初めに昼の風景を描きます。まだ色は塗りません。私はサインペンやカーボン(こちらをご覧ください)を使ってこのよう
    雪の風景で)描きますが、そういったものを使わず色だけで描く描き方の場合は
    初めから夜の色を使わなければならず難しいかもしれません。

     2. サインペンやカーボンで白と黒だけの風景が描けたら、夜でもこれくらいの色は見え
    るだろうと考えられる部分、例えば左の絵の建物の木造の部分や、明かりの見える障子
    窓の部分、樹木の緑や枯れた茶色の葉の部分にそれぞれの色をよく見て薄く塗ります。
     いずれもこれから夜の色にしていかなければならないので必ずうすく塗ります。月の
    光で光って明るく見える部分は塗りません。

   3. 夜の基本的な色となる夜空の色を作ります。ネイビーブルー、紺色といわれる色に黒、白、青、緑などの色を加えて、ご自
    分が夜空の色であるというイメージに合う色を作ります。画面全体に塗る色ですからたっぷりと作ります。途中で足そうとし
    ても同じ色にすることは難しいので十分すぎるほどに作っておくことが大切です。普通のパレットではとても足りません。深
    めの小皿を使うといいでしょう。

   4. 今作った色の一部を別に分けて少しの水でうすめ、まず、空または背景の広い面から塗っていきます。最初はムラになりま
    すが、何度も塗り重ねますので大丈夫です。

   5. 空を一二回塗ったら、後は全体に同じ夜空の色をうすめたものを塗り重ねていきます。樹木の輪郭や家の屋根は月の光を受
    けて明るく見えるはずですからそのように塗り残します。建物の窓の明かりや街路灯の光などをしっかり塗り残し、わずかに
    黄色や赤色を入れて夜の雰囲気を作ります。くれぐれも、一度に濃い色を塗らないように、全体にといってもベタ塗りをする
    ということではなく、樹木は一本ずつ明暗をよく考えて、時間をかけてゆっくり仕上げていきます。

   6. 全体にバランスよく色が塗れたら空の色を仕上げます。ムラになって
    いるところに、はじめに作った色をうすめ、面相筆の先を使って小さな
    点で塗っていきます。一度に仕上げようとせず根気よく続けましょう。

   7. 夜景が成功するかどうかは、最初に、完成したときの風景のイメージ
    がしっかりできているかどうかにかかっています。













                          おことわり  
          
          「中村興太郎(または、ナカムラコータロー)」で検索していただいた結果の「画像」には、
          私の顔は一切ありません。  また、作品の画像にも私のものでないものがあります。ご承
          知おきください。  

                          
上へ戻る